教員情報詳細
荒木 和華子
アラキ ワカコ Araki Wakako
基本情報
学部・部署
国際地域学部/University of Niigata Prefecture, Faculty of International Studies and Regional Development
学科
国際地域学科/
Department of International Studies and Regional Development
職位
准教授
学位・出身大学
修士(一橋大学大学院社会学研究科)
一橋大学大学院社会学研究科(総合社会科学専攻歴史社会)博士課程単位取得後退学
略歴
年月 | 職歴 |
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経歴 | |
1999年3月 | 国際基督教大学教養学部社会科学学科卒業、学科間専攻アメリカ研究プログラム終了 |
1999年3月 | 中学校教諭第一種外国語(英語)免許状取得 |
1999年3月 | 高校教諭第一種外国語(英語)免許状取得 |
2001年3月 | 一橋大学大学院社会学研究科現代地域文化専攻修士課程修了、修士号(社会学)取得 |
2003年2月 | 一橋大学留学生関連業務研究補助員 |
2003年8月 | 米国教育委員会フルブライト奨学金大学院プログラム(全額グラント)により米国フロリダ大学大学院留学 |
2006年4月 | 米国フロリダ大学大学院Department of History博士候補資格(Ph.D. Candidate)取得 |
2006年4月 | 日本学術振興会特別研究員DC |
2006年9月 | 国際基督教大学教養学部カレッジワイドプログラム アメリカ研究副手 |
2007年3月 | 一橋大学大学院社会学研究科(総合社会科学専攻歴史社会プログラム)博士課程単位取得後退学 |
2007年4月 | 日本学術振興会特別研究員PD |
2010年4月 | 新潟県立大学国際地域学部国際地域学科助教 |
2013年4月 | 新潟県立大学国際地域学部国際地域学科講師(2018、2019年度ベストティーチャー賞受賞) |
2021年4月 | 新潟県立大学国際地域学部国際地域学科准教授(現在に至る) |
主たる担当科目
アメリカ社会文化史
歴史学
教育の社会史
教育と社会
Seminar on Racial and Gender History
CLILⅡ A, CLILⅡB(英語クラス)
比較文化と越境的想像力(オムニバス)
ポストコロニアル研究入門(オムニバス)
中等教育実習A,B
アカデミック・リテラシー
卒業研究
研究テーマ
主なテーマ
専門:アメリカ史(社会文化史)、人種関係、ジェンダー史、教育の社会史
研究テーマ:アメリカ合衆国南部における19世紀半ば以降の解放民(元奴隷)・黒人教育に関する社会史・ジェンダー史研究
主な内容
大学院の時に出会った研究対象である、アメリカ合衆国南部のサウスカロライナ州シーアイランドの小さな島の解放民(解放奴隷)学校の展開に関する歴史的意義を様々な角度から考察してきました。現在の課題は主に次の3点です。
1.奴隷解放と〈教育〉の関係を捉える。
2.米国、19世紀半ば以降の解放民を対象とした学校とそのコミュニティに関する〈教育〉の社会史研究を行う。
3.その際に人種はもとより、ジェンダーの視点を取り入れる。
主な研究業績
著書・論文
【論文・著作】
・共著書籍、以下担当箇所は単著、「社会史におけるソシアビリテと感情への着目—『マルタン・ゲールの帰還』の女性・ジェンダー史的解読ほか」『国際地域学の課題』(小鳥遊書房、2024年5月)。
・単著論文「歴史学における『主体的・対話的で深い学び』の試み―『往復書簡』著者へのグループによる手紙執筆活動の実践例」『国際地域研究論集』第15号、2024年3月、77ー90頁。
・単著書評、「核抑止論を正当化する文化的仕掛けを暴く―今こそ被ばくを語る声を傾聴・代弁するために 宮本ゆき『なぜ原爆が悪ではないのか―アメリカの核意識』岩波書店、2020年」『平和研究』2023年、139-145頁。
・共著論文(苧野亮介、荒木和華子)、「傷を癒す黒人音楽の水脈―奴隷制下の黒人霊歌をルーツとする現代ヒップホップの可能性—』『国際地域研究論集』第14号、2023、47-63頁。(査読あり)
・編著書籍、『帝国のヴェールーー人種・ジェンダー・ポストコロニアリズムから解く世界』(明石書店、2021年)
ーー単著、コラム1「「真の女性らしさ」イデオロギーとアボリショニストによる解放民援助活動」『帝国のヴェール』、68ー76頁
ーー共著(荒木和華子、土屋匠平)第7章「FGM廃絶をめぐる歴史プロセスと新たなアプローチの可能性――『母たちの村』とナイース・レンゲテによる「男制」への着目」『帝国のヴェール』、197ー232頁
・単著、「教育と社会の間を問う試み─個人史的振り返りと展望─」30周年記念特集『<教育と社会>研究』第30号、2020年12月。(依頼原稿)
・「Ⅱ上杉忍氏の講演に対するコメントとレスポンス コメント」『「奴隷制廃止運動からベトナム反戦へ―トランプ政権とは異なるアメリカを探る―」上杉忍先生・油井大三郎先生特別講演会講演録』、南山大学アメリカ研究センター、2020年9月、20-24頁。(依頼原稿)
・単著論文、「19世紀末における『黒人問題』のパナシーア ― 米国と南アフリカの白人主義に抗う『非政治的な』戦略と準拠軸としてのワシントン型黒人・アフリカ人教育 ―」『19世紀学研究』第12号、2020年3月、61-74頁。(査読あり)
・編著、報告書、Theorizing Gender and Race in Historical contexts: Invisibilities, Transboundary Imagination, and Post-Colonial Futures beyond ‘the veil’ 国際地域研究学会(責任編集:荒木和華子), March 2020.
ーーWakako Araki & Shohei Tsuchiya“Questioning the Cultural Context of FGM: Considering Gender Education from Feminist Points of View,” Theorizing Gender and Race in Historical contexts: Invisibilities, Transboundary Imagination, and Post-Colonial Futures beyond ‘the veil’ 国際地域研究学会, March 2020, pp.38-48.
ーー単著、“Introduction: Unveiling Raced and Gendered Barriers: Imagining the Invisible in Historical Pasts for more Equitable Post-Colonial Futures,” Theorizing Gender and Race in Historical contexts: Invisibilities, Transboundary Imagination, and Post-Colonial Futures beyond ‘the veil’ 国際地域研究学会, March 2020, pp.2-3.
・単著論文、「20世紀転換期における米国南部ペン学校の教養教育から実業教育への転換――南アフリカにおけるアフリカ人の教育モデル移植の背景として」『国際地域研究論集』第10号、2019、21-34頁
・編著、報告書『教育研究交流セミナー「〈教育と社会〉を研究する――多様性と移動の視点から」報告書』(2019年)
ーー単著「米国南部黒人教育モデルの南アフリカへの移動に関する試論――人種主義と準拠社会の視点から」荒木和華子編著『教育研究交流セミナー「〈教育と社会〉を研究する――多様性と移動の視点から」報告書』(2019年)、21-29頁
・共著書籍、以下担当箇所は単著、「国際地域学点描:コラムとキーワード 10.ジェンダー」pp.268-271『国際地域学入門』小谷一明、黒田俊郎、水上則子編(勉誠出版、2016年)
・共著書籍、以下担当箇所は単著、「国際地域学点描:コラムとキーワード 10.ポストコロニアル」pp.310-313『国際地域学入門』小谷一明、黒田俊郎、水上則子編(勉誠出版、2016年)
・編著、報告書、『2013年度新潟県立大学教育研究高度化推進事業シンポジウム「『アイデンティティの政治』再考―ジェンダー/セクシュアリティ、階級、文化表象を横断する」の記録』(発行、新潟県立大学 荒木和華子、2014年3月)
・単著研究ノート、「南アフリカ共和国における米国南部黒人学校の移植をめぐるポストコロニアル研究のためのノート:「ソフトな帝国主義」の背景」『国際地域研究論集』第4号、2013、129-137頁
・単著論文、“Freedpeople’s Education and its Role in the Establishment of the Modern Public Educational System in the U.S. South during the Nineteenth Century: The Case of the Penn School and Robert Smalls in Beaufort County, South Carolina,” 『19世紀学研究』第6号、2012年3月、119-145頁。(査読有り)
・単著論文、"Historical Agency and the Black Self-Emancipation Thesis: A Historiographical Approach to the Arguments of “Who Freed Slaves,” Journal of International Studies and Regional Development, No. 2 (2011).
・単著論文、「解放民教育『実験』と他者形成:北軍占領地南部でのアボリショニストによる奴隷解放」『歴史評論』特集企画「『他者教育』にみるアメリカ」、2009年3月号、33-48頁。(依頼原稿)
・単著論文、 “Gender, Race and the Idea of Separate Spheres: Neo-Abolitionist Work in South Carolina Sea Islands,” The Japanese Journal of American Studies, No.19 (2008), 221-237.(査読有り)
・ 単著論文、“Historicising the Idea of Separate Spheres and Whiteness: Freedpeople’s Aid and Educational Activities in South Carolina Sea Islands, 1862-1877,” in Historicising Whiteness: Transnational Perspectives on the Construction of an Identity, eds, Boucher, Leigh, Jane Carey and Katherine Ellinghaus, (Melbourne: RMIT Publishing in association with the School of Historical Studies, University of Melbourne, 2007), 190-200.(査読有り)
・ 単著論文、「米国再建期における解放民教育再考――ウィリアム・ペン学校教師による黒人コミュニティ理解を中心に」『<教育と社会>研究第13号』、40-48頁、2003年。(査読ーアドヴァイス制)
・単著論文、 “Educating Racial Others, Performing Gender: Freedpeople’s Education in the Postbellum South” Proceedings of the Kyoto American Studies Summer Seminar, July 29- July 31, 2004, ed. Yoneyama Hiroshi, (Kyoto: Center for American Studies, Ritsumeikan University)、93-107頁、2005年。(依頼原稿)
・共著論文、以下担当箇所は単著“ ‘Welfare-Education Projects of the Freed People’ by the Freedmen’s Bureau and Port Royal Teachers in U.S. Reconstruction” (36-41頁) in Keiko Seki, Reiko Mihara, Miyuki Ohta, Wakako Araki, Sumiko Kamitani, “Beyond Silence: Social and Historical Reflections upon Educational Projects for Minority Groups” Hitotsubashi Journal of Social Studies, December 2003, Vol. 35 No. 2, 29-46頁、2003年(共著)
など。
【翻訳】
・荒木和華子訳、ルイーズ・M・ニューマン著、第一章「帝国建設において人種とジェンダーはどのように関係しているのか――アメリカ帝国主義についての省察」『帝国のヴェール』、48-67頁
・土屋匠平、荒木和華子共訳、ニシャン・シャハニ著、第5章「クィア理論入門-鍵概念の定義」『帝国のヴェール』、142ー163頁。
・吉見俊哉研究室他、『第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスターコレクション カタログ・レゾネ』、東京大学大学院情報学環、2006年(共訳)。
・ 同上、オンライン・デジタル・アーカイブ、http://archives.iii.u-tokyo.ac.jp.
・荒木和華子、太田美幸、神谷純子共訳、ユルゲン・シュリーバー著「社会間関係と準拠社会の構築/近代化プロセスと外在化―比較教育研究の批判的再定義のために」『<教育と社会>研究第13号』、75-84頁、2003年(共訳)など。
講座・講演
- 学外での担当授業、講演等
2023年 福島県本宮市立本宮第二中学校 総合学習:国際理解教育、講話「人種とジェンダーから国際理解を深めよう」
2019年 新潟国際情報大学「異文化塾〈アメリカ的なもの〉と私たち」講師 「黒人教育の歴史とヘイトグループの活動」
2012年 愛知県立大学外国語学部英米学科 非常勤講師「研究各論(特殊講義:英米の社会)」担当
2011年 新潟市民大学講師 「多文化社会での共生を考える【大学連携講座】(第五回担当「アメリカ合衆国史にみる共生の模索―文化多元主義から多文化主義へ)」
2009ー2013年 長岡造形大学 非常勤講師 「国際文化論Ⅰ」「国際文化論」担当
2009年 専修大学文学部史学科 兼任講師 「歴史学A」担当
2007―2009年 東洋大学文学部史学科 非常勤講師 「西洋史特別講義」「地域史(西洋史)」担当
所属学会
学会:日本アメリカ史学会(2023年~現在、編集委員)、日本西洋史学会、日本アメリカ学会、19世紀学会、ジェンダー史学会(2020年~現在、常任理事)、国際地域研究学会(大会企画委員等)、日本平和学会(2024年~現在、ハラスメント防止・対策委員)、日本教育学会、教育史学会
研究会:歴史学研究会、〈教育と社会〉研究会、アメリカ南部史研究会、名古屋アメリカ研究会、英語圏の思想・文化・歴史研究会、教師と教職の比較ジェンダー史研究会
自由記載
【科研費等】
・2013-2018年度 若手研究B「二つの帝国と黒人教育:南アフリカにおける米国南部黒人学校の移植に関する社会史研究」
・2011-2012年度 若手研究B「奴隷解放期における教育と政治の社会史―米国南部解放民学校と黒人議員の事例研究」
・2008-2009年度 特別研究員奨励費「南北戦争下における解放民教育と人種・ジェンダー編制:米国南部「再建」に関する研究」
・2006ー2007年度 特別研究員奨励費「奴隷解放期における人種とジェンダーの政治―米国南部ペン学校の実験教育の背景と思想」
【シンポジウムの企画・運営】
・2021年9月、「教育×ジェンダー×歴史」セミナー&ワークショップ(ジェンダー史学会)の企画、運営、司会
・2020年1月 新潟県立大学教育研究高度化推進事業による外国人招聘事業+国際地域研究学会10周年記念事業による国際シンポジウム ““Theorizing Gender and Race in Historical contexts: Invisibilities, Transboundary Imagination, and Post-Colonial Futures beyond ‘the veil’”「歴史的文脈におけるジェンダーと人種を理論化する――不可視性、越境的想像力、ヴェールの向こうのポストコロニアルな未来のために」(日本アメリカ史学会、日本平和学会後援)の企画、運営
・2018年12月、教育研究交流セミナー「〈教育と社会〉を研究する―多様性と移動の視点から」の企画、運営
・2013年9月 新潟県立大学教育研究高度化推進事業による研究(代表者)シンポジウム「『アイデンティティの政治』再考―ジェンダー/セクシュアリティ、階級、文化表象を横断する」の企画、運営
講座・講演キーワード
アメリカ史(19世紀、人種・ジェンダー、教育)
一言メッセージ
(一般の皆さまへ)
私は新潟県立大学開学2年目に着任し、これまで教員として恩師・先達から受け継いだバトンを学生たちにしっかりと伝えることができるよう、大学と一緒に成長すべく努めてまいりました。当初から変わらない思いは、学生たちと議論し、学ぶことができる空間と時間が何よりも貴重で有意義であるということで、与えられた環境に感謝しながら日々、教育・研究活動に取り組んでおります。
(学生のみなさんへ)
私は学生のみなさんとなるべくたくさんの議論(ディスカッション)をおこないたいと思っています。みなさんが授業やゼミで有意義な議論をおこなうために、まずはそのための共通言語や知識を身に着ける必要があります。まずはテキスト講読や課題、講義等にしっかり取り組んでください。
議論(ディスカッション)をおこなう際に求められることは「対話」であり、ステップは次のようにたくさんあります。自分と異なる様々な意見に耳を傾け、「他者」と出会い、受けとめる勇気を持つこと。「他者」の存在・立場について想像してみること、それまで持っていたイメージや考え方を柔軟に解きほぐしてみること。そして新たなる他者・社会・世界(そして自分自身も!)を見つめ直してみて(セルフ・リフレクション)感じること、考えたことについて表現するための言葉を模索し、内なる自己と葛藤し、他者に伝えるための言葉(言葉だけではないかもしれません!)を創造すること。そうやって創造され、編み出されたものを、今度は批判的に検討すること。そのために、他者の意見に耳を傾けること。このように、これらのステップは、常に繰り返しなので、勉強・研究には実は終わりはありません。でも、自分の力で創造した広義の「言葉」は、とてつもなく大きな力をもっていて、かならずやみなさんが歩を進める時の助けになるはずです。
大学では、授業やゼミの成果として担当教員がつける成績も大事ですが、おそらくそれよりも大切なのは、これらのプロセスを通して自分がどれくらい成長したのか、みなさんが自己評価してみることだと、私は考えています。
そのために、ぜひ主体的に授業に取り組んでほしいです。みなさんは教育サービスのお客様ではなく、そのど真ん中の担い手であり、一人一人が主役です。このことをどんな時も忘れないでほしいです。教員である私はみなさんのステージの袖(舞台裏)で、サポートする役目です。協力してよいステージを作るために、みなさんが大学生活を主体的に送ろう!という意識がとても大事です。ふんばりが必要なこともあります。でも、困ったり、つまづきもあるかもしれません。つまづきから、学べることもたくさんありますが、困った時は、遠慮なく相談してください。みなさんの大学での学びが実り多いものとなりますよう、いつも応援しています。
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