- ホーム/
- 活動実績/
- 国際会議・セミナー/
- 北東アジア経済発展国際会議(NICE)/
- 北東アジア経済会議組織委員会の記録/
- 第3回全体会開催概要
第3回全体会開催概要
2001年2月7日
新潟市
1. メンバーの変更報告・出席者紹介
2. 運輸・物流常設分科会の報告
栢原運輸・物流常設分科会委員長が、配布資料に基づいて、活動経過及び活動内容を報告した。
3. 北東アジア経済会議2001宣言文草稿について
吉田事務局長からの事務局案説明に対し、趙委員から「諸提案」項目(11)の記述についての修正意見、史委員からIT分野における協力の重要 性を考慮して、ITに関する項目(9)を追加する意見があり、それぞれ修正、追加した上で、採択した。(ここでの項目番号は、採択された文書での番号に準 拠。)それ以外に、以下の意見交換があった。
平山委員は、どの項目が今回の経済会議で新たに追加されるのかについて、事務局に質問した。吉田事務局長は、各項目について次のようにコメン トした。項目(2)~(7)は、従来から取り上げている運輸・物流及び環境に関わるテーマである。項目(1)及び(12)については、現在の国際情勢の中 で北東アジア局地経済圏形成のために重要なポイントを指摘したものである。項目(11)は、経済会議と他の事業との横の交流強化の姿勢を示したものであ り、特に開発金融の問題については、項目(10)で特記して連携して議論を進めることにしている。
オブザーバーとして参加した藤野氏は、項目(12)に含まれる「東アジア」という言葉の定義を質問した。これに対し山澤委員が、「東アジア」 は東南アジアも含めた広いコンセプトであるが、北東アジアが東アジアの中に含まれるということを強調するためにここで使っていると説明した。さらに、 ASEANが1年おきに開催してきたAPECの開催地が、今年は中国、2005年は韓国であることを指摘して、APECの議論の焦点を北に移していく良い 機会だと述べた。この点に関連して、史委員は経済のグローバル化が急速に進展している状況下で、北東アジアは東アジアの非常に重要なサブリージョンであ り、経済協力を東アジア地域で促進するべきであるということと、東アジアが内向きのブロックになるという事は阻止しなければならないという2点を指摘し た。
藤野氏が、項目(2)に関連して、北東アジアの協力関係のベースとしては、エネルギーや輸送だけではなく、貿易・投資の拡大も必要ではないか との問題を提起した。これに対して、平山委員は、過去の経済会議において、輸送問題が貿易関係の発展を阻害する一つの要因であるとの認識から、輸送に関す るセッションを貿易セッションと並んで実施してきていること、また同様の認識から組織委員会の中に運輸・物流常設分科会が設置されていることを指摘した。 また、サハリン・東シベリアの天然ガス開発を中心とするエネルギー問題については、北東アジアの安全保障という問題も含めて考えると、例えばパイプライン を整備してエネルギー輸送網を形成することも地域全体の協力プロジェクトになるとの解釈を示した。
4. 2001年組織委員会活動計画について
冒頭、吉田事務局長が、配布資料に基づいて事務局案を説明した。
古賀委員は、日中東北開発協会と吉林省人民政府が主催して、長春市で「2001年日中経済協力会議・於吉林」を開催する予定であることを紹介 した。これは、いわば中国東北地方とわが国との”面対面”の交流であり、2000年に遼寧省人民政府と同協会が「2000年日中経済協力会議・於遼寧」を 開催したのに続くものである。第2回となる次回会議では、図們江地域開発・農業関連諸問題・情報技術(IT)関連諸問題などを議論する予定である。
趙委員は、北東アジア経済フォーラムの第10回会議のアジア部分を長春で吉林省人民政府・UNDP図們江開発事務局と共同で、北米部分をアン カレッジで開催することを紹介した。長春の会議では、東アジアエネルギー共同体推進機構(委員長 中山太郎)と韓国の交通開発研究院から運営面の協力を得て、エネルギー問題・交通問題を中心に議論する。アンカレッジでは、東アジアエネルギー共同体推進 機構とNIRAの協力を得て、主にエネルギー安全保障の問題、環境問題に関して議論する。ERINAとの間で、相互利益になる協力を希望している。第10 回会議の他、フォーラムでは、北東アジア開発銀行の設立問題や電力サミットなど、計6つの会議を予定している。
史委員は、「ASEAN+3」を受けてNIRA(日本)、KIEP(韓国)及びDRC(中国)の3機関が共同で提言をまとめて、各国指導者に提 出することになったことを紹介した。その上で、他の北東アジア3カ国も加えた6カ国の幅広い関係者が、協調して北東アジア地域の経済協力を進めることの重 要性を指摘した。そして、次回の経済会議に今回参加していないNIRAや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の関係者を招聘することを提案した。
イシャーエフ委員は、調査研究テーマとして、電力の諸問題に大きな注意を払うべきであると指摘した。理由は、電力プロジェクトが、北東アジア 諸国間の関係、特に貿易経済交流をより活発化するためのベースとなりうるためである。そのために、この分野に関する共同研究を、活動計画に加えることを提 案した。
山澤委員は、アジア経済研究所とERINAとの連携強化の一環として、2001年5月に中国で開催される「APEC研究センター国際会議」に ERINAが参加することを提案した。また、アジア地域がIT革命から取り残されないよう協力することは、APECにおいても大きな課題であることを指摘 した。
ゴンボ委員は、図們江地域開発計画について報告した。このプロジェクトには北東アジア五カ国(日本を除く)から副大臣クラスが各国を代表して 参加しており、現時点で北東アジア唯一の政府間政府間組織である。北東アジアにおける経済協力を進める原動力となり得る。ERINA及び北東アジア経済 フォーラム・東西センターと協力している。2001年4月に予定している政府間会合では、このプロジェクトを図們江という狭い地域から拡大して極東ロシ ア・中国東北部・韓国・北朝鮮・モンゴルを含めることを議論する予定である。日本政府の参加を期待している。
頼委員は、国連経済社会局が、2000年6月の社会開発サミットのフォローアップ作業を行なっていることを紹介した。貧困撲滅のためには社会 開発及び経済発展が必要であるとの観点から、政府(特に地方政府)及び民間部門を支援するためのワークショップを開催してきている。具体的には、2000 年10月にソウルでワークショップ、12月にモスクワでセミナーが開催され、2001年6月には中国黒龍江省人民政府及び光彩事業促進会(企業家を中心と するNGO)の協力を得て、大規模なシンポジウムを予定している。このシンポジウムでは、地域発展、雇用創出と合わせて、環境保護、マイノリティー文化保 護を進めることによって貧困撲滅をすることを目的として、参加者間の経験の交換を行なうこととしている。
ツェンゲル委員は、2001年活動計画に、ロシア・シベリアからモンゴルを通過する石油・ガスパイプライン及び高圧送電線についての研究を追加することを提案した。
オブザーバーとして参加した羅雄培氏は、21世紀に北東アジアの経済発展が世界をリードすることに期待を表明した上で、組織委員会には朝鮮半 島の2カ国が参加していないことは不完全だと指摘した。事務局に対し、今後1年間で韓国政府代表と北朝鮮代表が参加するように努力することを求めた。
オブザーバーとして参加した朴廣氏は、北朝鮮本国からの参加がないことによって、北朝鮮だけが置き去りになってしまうことへの危惧を表明し た。今後も組織委員会と連携を保っていきたいとの意思を示しつつ、会議の内容の検討にあたっては、本国にアプローチできるようなに内容にすべきであるとの 意見を述べた。
各委員からの意見を受けて、事務局において活動計画案に一部修正を加えることとした上で、2002年活動計画を決定した。
5. 北東アジア経済会義2002開催方針について
冒頭、吉田事務局長が、資料に基づいて事務局案を説明した。
平山委員は、北東アジア地域の国々の関係者がそれぞれの抱える問題を皆の共通の問題として議論することが重要であると指摘し、組織委員会がそ のための共有の議論の場になることに期待を表明した。こうした観点から、経済会議は新潟で開催する一方、組織委員会は新潟以外の都市で開催することを提案 した。
イシャーエフ委員は、平山委員の提案に対し、ハバロフスクで組織委員会を開催する用意があることを表明した。
趙委員は、平山委員の提案に対し、北東アジア経済フォーラム韓国委員会と組織委員会と共催で会議を開催することを提案した。
北東アジア経済会議2002開催基本方針を事務局案通り決定した。
(事務局作成)