第5回全体会開催概要

2002年1月27日
新潟市

要点

2002年1月27日、北東アジア経済会議組織委員会(以下、組織委員会)の第5回全体会が開催された。会議には、代理出席を含めて全20名の委員が出席 したほか、来賓、オブザーバーなど、総勢約50名が参加した。今回は、韓国政府関係者が初めてこの会議に参加したことが特筆される。韓国の参加は設立当初 からの懸案であったが、前回の第4回会合では民間関係者の参加が実現し、今回は政府関係者も参加したことで、その問題が解決したことになり、委員会の体制 固めという点では一歩前進であった。

今回の会合は、北東アジア経済会議(以下、経済会議)との併催ということで、この会議自体で取り扱ったテーマは少なかった。北東アジア輸送回廊について運 輸・物流分科会から報告を受けたほか、今回の経済会議における宣言文の草案の作成と、今年度の活動計画、次回会議の基本方針を決めるのが主な議題であっ た。次回の北東アジア経済会議を2003年5月または6月に新潟で開催することを決めた。開催目的としては、「情報発信」、「政策提言」及び「ビジネス交 流機会提供」という3本柱を継続して掲げていく。取り上げるべき個別のテーマについては、今後、各委員の意見を取り入れながら検討していくことになった。 手順としては、2002年9月に、中国吉林省長春で開催予定の第6回組織委員会において、取り上げるテーマやその切り口などを「開催計画」の形として決定 し、それ以降具体的な開催準備を進めることになる。

中国対外貿易経済合作部の龍永図副部長は、中国政府が北東アジア地域の経済協力を推進するために支援を行う用意があることを表明した。

議事概要

オープニング

1  組織委員会の委員長である金森久雄ERINA理事長は、運輸・物流常設分科会において、「北東アジア輸送回廊ビジョン」が取りまとめられたことを評価した。また、組織委員会メンバーや来賓・オブザーバーなど参加者数が増えてきていることは、組織委員会の活動が大きな国際協力プロセスに広がりつつある兆候であるとして、歓迎した。

2  平山征夫新潟県知事は、北東アジア経済圏の形成に向けた機運が高まりつつも、いまだにさまざまな課題があり、多国間の経済協力が期待したほど進展していないという認識を示した。その上で、経済会議の場における積極的な発言や、経済会議で議論された内容の実現に向けた協力を求めた。

北東アジア輸送回廊

3  運輸・物流常設分科会の栢原英郎委員長が、分科会の研究成果として取りまとめた「北東アジア輸送回廊構想」を説明した。この構想は、1年半にわたる調査・研究活動の成果としてまとめられたものであり、北東アジア地域発展のための基礎的な条件である自由で効率的な人の移動、物の輸送を可能とすることを目指して作成された。北東アジアの主要な国際輸送路として9本の輸送回廊を特定して重点的に整備していくことを内容としている。さらに、それぞれの輸送回廊について、優先的取り組むべきプロジェクトをリストアップした。

北東アジア経済会議2002イン新潟の成果文書

4  「宣言文案」、「前回会議における諸提案のレビュー」及び「会議における諸提案」の3つの文書を決定した。「宣言文案」については、1月29日の総括セッションにおいて、組織委員会の名において提案され、採択された。他の2つの文書については、同じく総括セッションにおいて、報告された。

2002年活動計画

5  2002年9月に中国吉林省長春で第6回組織委員会を開催し、その場で「北東アジア経済会議2003イン新潟」の開催計画を決定することにした。また、2002年にメンバー相互に協力する事業として、以下に述べる提案、意見があった。

6  吉林省の李介車副省長は、まず次回組織委員会の長春開催を歓迎した。そのほかにも9月の図們江地域貿易商談会など多くの国際イベントが予定されていることを紹介した。また、長春で計画されている「北東アジア国際交流センター」建設プロジェクトへの、各国関係者の積極的な参加を求めた。

7  国連経済社会局の米川佳伸プログラムコーディネーターは、3月27~29日に北京で開催する予定の社会開発に関するワークショップの概要を紹介した。中国、ロシア、モンゴル、韓国、北朝鮮及び日本から若干名の専門家の参加を得て、ケーススタディを通じて、貧困の克服等の社会開発の分野で、具体的にどのような施策・行動をとるべきかについて議論を深める計画である。これに関連して、中国光彩事業促進会の頼尚龍総顧問が、同会としても、このワークショップを積極的に協力する意思があることを表明した。

8  北東アジア経済フォーラムの趙利済議長は、2001年11月に富山で「北東アジア経済フォーラム電力サミット」を開催したことを報告した。2002年3月6~8日にアンカレッジで開催される「第11回北東アジア経済フォーラム」では天然ガス、環境にやさしいエネルギー利用及びITの3つのセッションが設けられている。

9  モンゴル外務省のバトボルト副大臣は、9月17~19日にウランバートルで開催する投資フォーラムの紹介を行った。これは外国人投資家に対してモンゴルの投資環境や投資プロジェクトを紹介するものであり、バトボルト氏は多くの関係者の参加を呼びかけた。

10  アジア経済研究所の山澤逸平所長は、長期的観点に立って、APECの関心を北東アジアに強くひきつけることが重要だと指摘した。2005年に韓国がAPEC議長国になること、その後遠くない未来にロシアが議長国になるであろうことを考慮すると、その頃に向けて、さまざまな準備をしていく必要があろうとのことであった。

11  日中東北開発協会の岩崎篤意理事長は、今回で3回目となる日中経済協力会議を5月28・29日に黒龍江省のハルピン市で開催予定であることを紹介した。主なテーマは、(1)農業・林業、(2)投資・貿易、(3)運輸・観光及び(4)地域協力の四点である。また、同協会内に国際部会を設置し、中国の地方政府・企業等が国際会員として入会する制度が出来たことが報告された。実際のプロジェクトベースでの日中企業間のパートナーシップ形成が期待されている。

12  遼寧省の趙新良副省長は、7月10~13日にアジア太平洋観光協会の第8回総会を大連で、また8月30日~9月5日に国際機械設備製造業博覧会を瀋陽で開催する予定であることを述べて、多くの関係者の参加を呼びかけた。

13  黒龍江省の付暁光省長助理は、3月に北京で国際商談会議を開催することなどを紹介した。6月の恒例のハルピン国際貿易投資商談会は、次回が13回目になるという。投資効率の高いプロジェクトがあるので、是非参加して欲しいとのことであった。

14  在日ロシア大使館のワシリエフ参事官は、9月にウラジオストクでAPECの投資マートを開催する予定であることを紹介しつつ、将来ロシアがAPEC議長国になることについて、日本を始め各国の支援を得たいとの期待を示した。

15  中国対外貿易経済合作部の龍永図副部長は「この地域にはさまざまな難しい条件があり、地域経済協力の努力から生まれた成果はまだ少ない。しかし、その努力は重要である。また、各国中央政府のしっかりとした支援も不可欠であるが、中国は支援を行う用意がある。他国にも同様の支援を期待したい。」という趣旨の発言をした。

(事務局作成)