COIL型授業の実施~新興国経済論~

その他 開催日:2021年11月10日(水)~24日(水)

 2021年度後期、国際経済学部の「新興国経済論」(2年次の専門基礎科目)では、ロシアのサンクトペテルブルグ工科大学(Peter the Great St. Petersburg Polytechnic University)と国際オンライン協働学習の授業を行いました。実施に際しては、事前に両大学の教員で授業計画を立て、授業ICTツールにはPadlet(ウェブ上の掲示板)とZoom(オンラインセッション)を用いました。
 協働学習のテーマを「新興国市場への多国籍企業の戦略」とし、新興国に進出する先進国の多国籍企業が直面する課題とそれを乗り越えるための戦略について学びました。両大学の教員が共同で執筆した「ユニクロのロシア市場への進出戦略」を教材(ケーススタディ)に用いて、日本を代表するアパレルブランド「ユニクロ」のロシア市場への進出背景・形態および現地での販売戦略について学習したほか、ロシア国内市場において、ユニクロのプレゼンスをより一層高めるためには、どのような戦略が考えられるのか、両大学の学生同士でグループ・ディスカッションをし、その成果を英語によるプレゼンテーションで発表しました。

※本授業は日本語で開講しているアクティブラーニングの要素を取り入れた講義科目であるが、授業資料および一部の学習内容に関しては、英語を用いている。その旨を事前に学生にシラバスで伝えている。


(写真)授業の様子

  • COIL型授業の概要

【参加者】
新潟県立大学10名(2年生)、サンクトペテルブルグ工科大学8名(3−4年生、フランス・韓国・中国からの交換留学生を含む)
【実施期間】
・2021年11月10日~2021年11月24日
・事前学習(授業外でのリサーチと自習を含む)90分×2回
・Zoomでのオンラインセッションは90分×2回
【使用したICT】
Zoom(オンラインセッション)、Padlet(ウェブ上の掲示板)、Google Forms(学生による成果の評価、フィードバック)

  • 授業実践の展開

【第1週目:導入と情報交換】

学習目標:Padletを活用した自己紹介。「新興市場への先進国からの多国籍企業の進出戦略」に関する講義資料を自習。授業テーマに関する事前知識の習得と共有。
主な活動:
・COIL型授業の趣旨および日程、Padletの使い方、注意事項などの説明。
・参加学生の英語の能力に配慮したグループ分けをし、各グループのPadlet上で写真や動画などを用いて英語での自己紹介を行い、相互の交流を図った。
・Padlet上に質問を自由に書き込めるHelp Deskを設け、学生や教員が適宜回答した。
・教材「Uniqlo’s Global Expansion into Russia’s Fashion Retail Market」の熟読。

【第2−3週目】
学習目標:講義資料で習得した知識をケーススタディの質問への回答に応用する、関連情報の検索によるリサーチスキルの向上。
主な活動:
・両大学の学生同士でケーススタディの課題の検討
・関連する情報の検索・分析
・ケーススタディの回答の共有(Padlet)
・両大学の学生が準備したプレゼンテーション資料の共有(Padlet)
・作成した資料の発表練習

【第4週目】
学習目標:オンラインセッション(Zoom)での英語による成果発表
1時限目
・ブレイクアウトセッションでグループごとに最終ディスカッション
・発表内容の最終確認および修正
・成果発表のリハーサル
2時限目
・成果発表会(4つのグループ、各15分)
・学生と教員によるフィードバック
・振り返りのアンケート(Google Forms)

  • 実践結果

 日本とロシアの大学間のCOIL型授業であったため、両大学の学生が同程度に身近に感じられる内容であることに考慮し、テーマを設定しました。「ユニクロ」は日本を代表するアパレルブランドであり、欧州市場ではとりわけロシアにて成功しています。新興市場のロシアにおいて、株式会社ユニクロはどのような戦略を取っているのか、その秘訣とは何か、学生たちは独自に調べ、ロシア側の学生と活発に議論をすることができました。その結果、本授業を通じて、新興国経済論の以下の概念および学習内容に関する理解を深めることができました。
・新興市場の魅力とリスクの評価
・新興市場の潜在能力指数(Market Potential Index)
・多国籍企業の一般的な戦略(国際化戦略、グローバル標準化戦略、現地適応化戦略、多国籍化戦略)
・多国籍企業の新興国への進出戦略(国内市場での販売促進戦略、生産拠点としての進出(輸出ハブ)、戦略的な資産の獲得)
・多国籍企業の進出形態(輸出、ライセンス、フランチャイズ、合同(合併)企業、子会社など)
・新興市場としてのロシアの特殊性