COIL型授業の実施~経済学英語B~
2021年度後期、国際経済学部のCLIL(Content and Language Integrated Learning)「経済学英語B」が、ジョージア・サザン大学芸術人文学部のCLIL「日本語3090」と共同で実施されました。両大学の教員が事前に打ち合わせを行い、メール、Zoom、Google Slides、Flipgrid(動画・プレゼン共有ITツール)などを使って行ったオンライン共同学習のテーマは、「日本のエネルギー問題」。エネルギーと経済の関係を理解するために、読書や講義を行いました。
1.COIL型授業の概要
時差の関係で、学生間のコラボレーションは非同期で行われました。学生同士はメールで連絡を取り合い、Zoomを使ってGoogle Slidesでプレゼンテーション資料を作成しました。
参加者
新潟県立大学2年生37名、ジョージア・サザン大学人文学部3年生7名
実施期間
11週間 ※授業外での活動も含む
使用ICT
Zoom(オンラインセッション)、Eメール、Flipgrid(プレゼンテーションを録画・視聴するためのウェブベースプラットフォーム)、Googleスライド、Googleフォーム(結果の学生による評価、フィードバック)
2.授業実践の展開
LLC型COIL(Language Learning COIL)を用いて授業を設計・実施しました。
第1部:交流・チームビルディング
第2部:協働・問題解決(タスク)
第3部:発表・フィードバック・振り返り
【1週目】第1部:導入と情報交換(交流とチームビルディング)
活動内容
タスク 1: 両クラスで今回のCOILプロジェクトの目的、スケジュール、Padletの使い方、注意事項等の説明を行う。
参加者をグループに分け、グループごとにFlipgridで自己紹介動画を作成し、英語で自己紹介を行う。全員が動画を作成、視聴し、コメントする。
プログラムのスケジュール、グループのリスト、個人のメールは、Google Docsを使って学生に公開した。グループリーダー、サブリーダーを決め(持ち回り制)、リーダーの役割分担を説明した。
タスク2:グループメンバーとのメールでの連絡を実施。
・その他の活動 トピックに関する録画済み講義ビデオの視聴
・講義資料の読み合わせ
・自習の時間
学習目標
・お互いを知ることができる。
・英語/日本語で意図的かつ真正面から交流し、コミュニケーションをとる機会を持つ。
・インフラの語彙、定義、重要性を学び、経済発展との関連性を理解し始める。
【2-3週目】チームビルディング&コラボレーションにつなげる
活動内容
Zoomで学生同士が会話し、以下についてインタビューした。
(GSU → UNP)
1.地震や津波を体験したこと
2.放射性廃棄物や汚染水の流出に対する意見
3.原子力発電や代替エネルギーに対する見方や考え方
(UNP → GSU)
1.放課後クラブ、塾、修学旅行などの学校経験
2.公園やレクリエーションの経験-利用方法、場所、利用者層など
3.公共交通機関の利用経験
学習目標
英語と日本語を使い、目的意識を持った真のコミュニケーションをとる機会を持つ。
講義のビデオやテキストから得た知識を使って、インタビューの質問の作り方を応用することができる。
【4-5週目】第2部:共同作業/問題解決(タスク)
活動内容
各グループの新リーダーとサブリーダーがGSUのグループメンバーに連絡を取り、Zoomでミーティングを行い、アメリカまたは日本のエネルギーに関するトピックを決めるために交渉した。トピックのどの部分を誰が調べるかを話し合い連絡し、役割を分担した。グループメンバー全員がトピックのリサーチを手伝った。これまでの交流について振り返りを行った。
学習目標
グループのメンバーとコミュニケーションをとり、アメリカまたは日本のエネルギーに関連するトピックを選択する。
【6週目】研究時間の様子
活動内容
グループに分かれて協力した。グループごとに集合時間を決め、授業時間外に作業を行い、課題を完了させた。
決めた役割分担に基づき、トピックについて調べた。
【7-9週目】グループワーク&PPT(Google Slides)2枚作成
UNPの学生は、リサーチしたトピックについて、英語のPPTと日本語のPPTを1枚ずつ作成した。
学生たちは練習をし、GSUグループのメンバーからフィードバックを受け、UNPの学生たちはGSUグループのメンバーにアドバイスをした。
学習目標
信頼できる情報源と適切な学術的言語を用いて研究を行うことができ、COIL型授業の経験を振り返り、考えや意見を文章で表現することができる。
FlipgridでGoogle Slidesを使って研究発表を行う。
【10-11週目】第3部:発表・フィードバック・振り返り
活動内容
このCOILプロジェクトに対する学生によるGoogleフォームでのフィードバック
各グループの共同プロジェクト(プレゼンテーション)を英語または日本語で発表する。 時差の関係で、プレゼン動画を作成して共有する必要がある。
学生に割り当てられたタスク
1.FlipgridでPPTプレゼンテーションを録画する。
2.他のグループの発表を見て、内容や伝え方についてフィードバックをする。(フィードバックするグループは指定される。)
3.最後の振り返りの課題を行う。
学習目標
信頼できる情報源と適切な学術的言語を使用して、研究を要約し発表することができる。適切なフィードバックを与えることができる。
練習の成果
学生同士の交流も活発で、授業後のアンケートでは「授業内容への関心と理解が深まった」という回答が多く見られた。また、このCOIL型授業に参加したUNP、GSUの学生からは、「聞き手に伝わる、理解してもらえるコミュニケーションの方法を学べた」「コミュニケーションスキル、トークスキルが身についた」「グループメンバーとのコミュニケーション、協調性が身についた」「これまで使ったことのないICTを学ぶ機会になった」「このプロジェクトを通して、日本のエネルギーの現状や問題点について理解が深まった」などのポジティブなコメントが多く聞かれた。また、「プレゼンテーションの仕方やメールでのコミュニケーションの取り方なども学ぶことができた」という声も聞かれた。全体的に、学生たちはオンラインコラボレーションに対して非常にポジティブな反応を示していた。COILを使った授業は非常に有益で、この交流がなければ得られなかった技術を学び、経験を積んだと言える。