教員紹介
教員一覧
令和6年4月1日現在
あいうえお順
※氏名をクリックすると、新潟県立大学教員データベースが表示されます
氏名 | ふりがな | 主な担当授業科目 |
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あだむそん じょん |
Academic English Lecture for Academic Skills Ⅰ・Ⅱ Sociolinguistics Discourse Analysis CLIL Ⅰ |
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新井 貴大 | あらい たかひろ | 法学 日本国憲法 比較法学 比較法学演習 多文化共生論 |
あらき わかこ |
CLIL ⅡA・ⅡB |
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いがらし まい |
Reading & Writing Fluency Academic English CLIL ⅡA・ⅡB 英語文学 比較文学演習 ジェンダー論演習 比較文化と越境的想像力 比較文学 |
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いとう じゅんいちろう |
哲学・倫理学 現代文化論 哲学演習 哲学 比較文化と越境的想像力 原書講読A |
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おだに かずあき | Radical Thinking Academic Reading & Writing 新潟県の文化と社会 国際地域研究基礎 文学 世界文学 フィールドワーク B アメリカ表象文化論 |
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きむ せらん | 韓国語ⅠA(総合基礎) 韓国語ⅡA(総合初級) 韓国語作文Ⅰ(中級) 韓国語作文Ⅱ(上級) 韓国語学演習 基礎韓国語Ⅰ・Ⅱ 朝鮮半島の社会と文化 言語と地域文化(露中韓) |
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くぉん よんじゅん | 国際地域研究入門 多文化共生論 ポストコロニアル研究入門 韓国語表現法Ⅰ・Ⅱ 東アジア史 東アジア研究 現代韓国社会論 韓国社会論演習 日韓関係論 |
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くっく めろでぃー | Academic English Skills Academic English 英語アカデミック・ライティング CLIL Thesis Writing Principles of Language Teaching Principles of Applied Linguistics |
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ご かぽ | Political Issues in East Asia International Relations(Theory) Security Studies 国際社会の課題 国際関係研究A・C |
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後藤 岩奈 | ごとう いわな | 近代中国の社会と文学 現代中国の社会と文学 中国語ⅠB(読解基礎) 中国語ⅡB(読解初級) 中国語表現演習ⅠB(読解) 中国語表現演習ⅡB(読解) 言語と地域文化(露中韓) |
さとう ひでし | 言語学 Structure of English A・B Practical English Skills A・C 英語学概論Ⅰ(基礎) 英語学概論Ⅱ(発展) 言語の科学A(文法と意味) 英語統語論研究Ⅰ 英語統語論研究Ⅱ |
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Stoeckel, Tim | すてくる てぃむ | English Fluency Ⅰ・Ⅱ Academic English Lecture for Academic Skills Ⅰ Lecture for Academic Skills Ⅱ CLIL Ⅰ Principles of Language Testing Principles of Applied Linguistics |
関谷 浩史 | せきや ひろし | 都市デザイン論 地域デザイン演習 サスティナブルシティ論 空間デザイン論 地域協働演習 都市文化論 |
たかく ゆみ | 中国語ⅠA(語法基礎) 中国語ⅡA(語法初級) 中国語表現演習ⅠA(聴解) 中国語表現演習ⅡA(聴解) 中国言語文化論 中国言語文化演習 言語と地域文化(露中韓) |
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たかはし あずさ | 韓国語ⅠB(文法基礎) 韓国語ⅡB(文法初級) 韓国語翻訳法Ⅰ(基礎) 韓国語翻訳法Ⅱ(実践) 韓国語リテラシーⅠ・Ⅱ 韓国言語文化論 韓国言語文化演習 世界文学 言語と地域文化(露中韓) |
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田口 一博 | たぐち かずひろ | 新潟県の地方自治 行政学入門 公共政策 |
田畑 圭介 | たばた けいすけ | English Pronunciation English Grammar Current English Fundamental English A Media Listening 英語学演習Ⅰ(基礎) 英語学演習Ⅱ(発展) 英語音声学 異文化コミュニケーション論 教職実践演習(中・高) |
ちの じゅんいちろう | Fundamental English B Media Listening Practical English Skills B 英語科教育法Ⅱ 英語科教育法Ⅲ 英語科教育法研究 教職実践演習(中・高) 国際地域研究入門 異文化コミュニケーション論 |
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ちん ぼうゆ | 国際社会の課題 国際関係研究A・C フィールドワーク A 台湾政治社会論 比較政治学/Comparative Politics Interactive Studies: Issues in North East Asia 国際地域研究入門 ポストコロニアル研究入門 |
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中束 友幸 | なかつか ともゆき | Interactive Studies: Issues in International Politics 国際政治学 平和研究 国際地域研究入門 国際地域研究基礎 |
のもと ようへい | 情報活用演習A・B 情報リテラシー データサイエンスリテラシー 人間情報システム 人間情報システム演習 情報システムと倫理 |
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畠山 京子 | はたけやま きょうこ | 国際関係特論/International Affairs A 国際関係研究B・D 日本外交論 |
樊 可人 | はん かじん | 基礎中国語Ⅰ・Ⅱ 中国語リテラシーⅠ・Ⅱ 中国事情 中国語表現演習ⅠD(作文) 中国語表現演習ⅡD(作文) |
ひろせ けんたろう | 国際関係研究B・C・D 政治学入門 データから見る紛争 情報リテラシー データサイエンスリテラシー |
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ふくもと けいすけ | ポストコロニアル研究入門 ポストコロニアルの思想と文化 ポストコロニアル思想・文化演習 Critical Thinking Seminar on Postcolonial Literatures CLIL ⅡA・B 言語文化論 比較文化と越境的想像力 フィールドワーク B |
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(学科長) |
ぶらうん はわーど | English Fluency Ⅰ・Ⅱ Academic English CLIL Principles of Language Acquisition and Learning Principles of Applied Linguistics Second Language Acquisition 国際地域研究入門 Interactive Studies: Issues in International Politics Interactive Studies: Issues in Global Governance |
古川 勇気 | ふるかわ ゆうき | 文化人類学 文化人類学演習Ⅰ・Ⅱ 開発人類学 比較文化と越境的想像力 比較文化論 原書講読B 新潟県の文化と社会 |
べねっと ふぃりっぷ | English Fluency Ⅰ・Ⅱ CLIL Ⅰ Advanced Reading Academic English 英語プレゼンテーション Vocabulary Building Psycholinguistics Principles of Applied Linguistics Interactive Studies: Issues in International Development Interactive Studies: Issues in North East Asia |
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みずかみ のりこ | ロシア語ⅠB(基礎CALL) ロシア語ⅡB(初級CALL) ロシア言語文化演習B(CALL演習) ロシア言語文化演習C(読解・多読) 露日翻訳演習 ロシア民俗概論 ロシア言語文化論A(伝統文化と社会) ロシア言語文化論B(文学) ロシア語リテラシーⅠ 言語と地域文化(露中韓) 情報リテラシー |
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峯島 道夫 | みねしま みちお | 英語科教育法Ⅰ・Ⅳ 英語科教育法研究 教職実践演習(中・高) Advanced Listening Practical Writing クリティカル・リーディング Translation ESP:Nutrition |
みやざき ななこ | アカデミックリテラシー 日本語教育学概論 日本語教育学演習 異文化間協働演習 ビジネス日本語A・B 中上級日本語(聴く・話す) 上級日本語(読む・書く) 国際地域研究入門 異文化コミュニケーション論 |
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みらー えりか | 国際関係特論/International Affairs B 国際関係史 国際関係研究B・D Interactive Studies: Issues in Global Governance 国際社会の課題 |
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穆 尭芊 | むう やおちぇん | 国際関係研究A・B・C・D 東アジア研究 国際社会の課題 中国事情 現代中国地域研究 Interactive Studies: Issues in International Development 国際地域研究入門 |
(学部長) |
やなぎまち ゆうこ | ロシア語ⅠA(基礎) ロシア語ⅡA(初級) ロシア言語文化演習A(中級文法) ロシア語の歴史と社会 ロシア語学文学特殊研究 時事ロシア語 言語学 世界文学 国際地域研究入門 言語と地域文化(露中韓) ロシア語リテラシーⅠ |
教員の横顔
Adamson, John
実務的な言語学を学びの場へ
■「 大学」ならではの勉強方法
私は、EAP(English for Academic Purposes)と談話分析を教えています。学生の勉強内容と英語を統合することにより、授業がより活きたものになります。さらに、学生同士で協力し合ったり、SALCを活用した自主学習の必要性に重点を置いています。このような学習方法は、新潟県立大学の新入生にとっては高校までの学習方法とは異なるでしょう。学生の皆さんには、新しい学習方法をいろいろ試みて、大学での学習内容のレベルに見合った方法を見つけてもらいたいと思います。
■ 実務の視点でみる研究
私の研究は、常に教員や学術誌編集者としての実務に焦点をおいています。20年前、博士論文の一環としてEMS(English Medium Studies)を履修していたときに、タイ人の学生の学習方法について調査をしました。その後、日本では、教員アイデンティティー、SALC、ビジネス英語、EAP、そして最近では、皆さんがどのように自分たちの学術研究を出版できるのかを研究しています。学術誌編集者として、アカデミック・ライティングや、どのようにして研究者が出版できるかを理解し、その手助けができるかに強い興味を抱いています。
■ 語学の楽しさと出会った学生時代
学生時代には、スポーツを楽しみ、一生懸命勉強したことを覚えています。ラテン語を学びました。学生にはあまり人気のない教科でしたが、先生はとても親切でした。他の言語にもどんどん興味が湧いてきて、フランス語とドイツ語を熱心に学びました。また、大学でライティングをたくさんしたので、卒業時には文章の書き方と外国語を話すスキルが身に付いていました。恩師には、語学の楽しみを教えてくれたことをとても感謝しています。
新井 貴大
大学教員になったきっかけ
学部3〜4年で憲法のゼミに参加したことが大きかったように思います。比較的長く憲法というテーマやゼミの先生と接する機会があり、そのなかで権利や自由、制度といった概念への見方が変わっていった覚えがあります。こうした経験が大学院で研究を始めることにつながり、権利や自由について議論の蓄積があるドイツ憲法学に目を向けるきっかけにもなりました。
休日は何を
家事にあてることが多いです。まだ新潟にきて日が浅いので、散策(および日頃の運動不足解消)のために自転車で少し遠出をすることもあります。夏は月岡温泉まで自転車で行きました。途中の風景が開放感に溢れていたのがいい思い出で、疲れたところで入った温泉も格別でした(翌日は筋肉痛にうめきながら帰りました)。
授業で工夫している点
判例や時事問題と関連させることで、授業の内容を実際に適用して考えてみることを重視しているほか、講義形式の授業であっても、双方向のやりとりに開かれているようにしています。今は便利なツールがあるので、学生から授業中や授業後に感想や意見を随時もらうことができます。授業内で解説した概念を使いこなしたり、他の授業で学んだ内容と結びつけて応用したり、気さくなコメントを寄せてくれたりする学生も多く、授業をするうえでの励みになります。
My Favorite MOVIE
恋はデジャ・ブ
アメリカ・1993年製作。いまやあらゆる分野で人気のループ(タイムリープ)系の映画です。比較的時間のある大学生の時期に(だからこそ)、観てみるのもいいのではないでしょうか。
(『Kite, Mite Vol. 19 (2022)』より)
荒木 和華子
様々な視点からのアプローチを考える
■ 研究に取り組むきっかけとなった留学
アメリカの高校を卒業し、当時「多文化主義の影響もあり人種・民族・文化の多様性が称揚されているけれども、アメリカ社会は実際には多くの問題を抱えているのではないか、その理由は何だろう」と漠然とした疑問をいだいていたときに、大学の授業の課題でMaya Angelouという黒人女性の自伝的小説に出会いました。彼女の言葉に心を打たれ、彼女に会いたくて交換留学をして、奴隷制や解放運動について学び、この分野の歴史にさらなる興味を持ちました。
もともと日本の画一的な教育に違和感があって高校時にアメリカへ留学したので、教育に対する強い関心があり、大学院に入って、恩師に解放奴隷のための教育運動があったことを教えていただきました。直後に米国南部の大学史料館で解放民学校に関する史料を発見し、現在の研究テーマ「黒人教育と人種・ジェンダー史」に取り組むことにしました。
■ 担当している授業の特徴、面白いところ
歴史、教育、英語等の授業科目を担当していますが、どの授業でも、問いへの一つの正しい答えを探すのではなく、様々な立場や視点、アプローチが存在していて、それらを支える異なる動機や理由が背景にあることを学生が自分の力で理解できるようになることを目指しています。具体的には、アカデミックな問いを身近な問題と比較したり、グループ・ディスカッション等を通して自主的に考察・発信する力を育んでもらいたいと思っています。私の授業は、要領よく最短で問いの答えを見つけたい学生には不評かもしれませんが、じっくり取り組んで深く考察したことを周囲と議論等を通じて共有し、考え続けたいと思う学生には面白いと思ってもらえるかもしません。
■ 本学で教えていてよかったと思ったこと
2020年1月に、国際地域研究学会の10周年記念国際シンポジウム(「歴史的文脈におけるジェンダーと人種を理論化する―不可視性、越境的想像力、ヴェールの向うのポストコロニアルな未来のために」)を本学で開催しました。海外から2名、国内から2名の研究者を招聘し、真冬の大講義室がたくさんの参加者の熱気で包まれるなか、教員だけでなく学生たちも共に専門的な内容について英語で自由闊達な討論を行いました。熱心な学生たちが、シンポジウムの準備を手伝ってくれたり、当日はゲストと積極的に交流したり議論に参加するなどたくさん関わってくれたことがとても嬉しかったです。学生たちの一生懸命な姿を見て、本学で教育・研究を行っていてよかったと思いました。
伊藤 潤一郎
哲学とは、書きつづけ、世界を変えること
西洋哲学の歴史にはいくつかの画期があります。ソクラテス、プラトン、アリストテレスの古代ギリシアはもちろん、デカルト、スピノザ、ホッブズらが活躍した17世紀など、なぜか有名な哲学者は一挙に現れてそれまでにない新しい思考を展開しはじめます。私が大きな影響を受けた20世紀後半のフランス哲学も、そのような画期のひとつでした。
私自身は、そのなかでもジャン゠リュック・ナンシーという哲学者の思考を受け継いで「共同体」の問題に取り組んでいます。普通に考えれば、共同体とは何らかの共通性(地縁や血縁など)をもった人々の集団のことですが、ナンシーは「共通性なき共同体」という逆説的なかたちの共同体を考えようとしました。他人とともに生きるのが好きでなかった私にとって、この考え方はとても魅力的でした。共同体の息苦しい同調圧力から距離を取りつつも、それでもなお他者とともに生きていくヒントがあるように思えたのです。
とはいえ、「共通性なき共同体」を具体的にイメージするのは思いのほか難しく、やっとのことで掴んだのが「投壜通信」というイメージです。難破した船の上から壜に手紙を詰めて、いつかどこかの岸辺に漂着することを信じて海原に投げ入れる「投壜通信」は、言葉を投げる「私」と受け取った「あなた」のあいだに果てしない距離がありながらもどこか親密な関係が結ばれる不思議な言葉のあり方です。私自身も一度も会ったことがないナンシーから「投壜通信」を受け取って哲学をはじめてしまいました。このひとの言っていることを真に理解しているのは私だという「誤解」こそが、知性をこれまでとは違う方向へと走らせ、世界を見たこともない新たなものにするのです。ひとりの人間の人生を変えてしまうほどの言葉の力を信じて、話したり書いたりしつづけることこそが「共通性なき共同体」のあり方なのだといまは思っています。
小谷 一明
歩いて学ぶ、人と触れ合うフィールドワーク
公害スタディーズ@阿賀+水俣
9月半ばに3泊4日で熊本県の水俣市を訪問します。不知火海(八代海)に面した小さな漁村をめぐり、そこで半世紀以上も前に起きた公害事件を学んでいきます。どのような場所で公害が起きたのかを知ることが学びの第一歩、まずは人々の暮らしにふれながら、公害以前を想像していきます。その後で患者さんと支援者のお話を聞いたり、資料館を見て回ります。歩く中で留意したいのが、自然です。メチル水銀中毒はヒトだけに被害を及ぼしたわけではありません。魚、貝、鳥、豚など様々な生きものが被害を受けました。海が破壊されたことで埋め立てが始まり、子どもたちの遊び場、村人の心のよりどころもなくなりました。埋め立て地や渚を歩いて観察した体験を新潟に持ち帰り、阿賀野川バスツアーをしながら公害とは何かを新潟でも考えます。
環境の未来を考える力
環境は「地球の問題」となっていますが、それを身近な問題として受けとめていくためにはどうしたらよいのでしょうか。この点が重要となります。環境被害に遭った場所を訪れ、感じたことを土台とし、環境全体について考えていきます。授業では講演会や映画なども利用して公害問題と今の環境問題をつなげて考える様々な方法を学んでいきますが、その中から自分にあった学びの「入口」を見つけてもらいます。近代の環境破壊をふり返りながら、どのような言葉で、表現で水俣病被害の深刻さを伝えていくべきか。この問いに向き合いながら、未来に向けて環境を読み解く力、感受性を高める方法を模索してもらいます。
旅人になる学生が続出!
水俣に行く、阿賀野川流域を訪れることで、旅人になる学生がたくさん生まれています。授業にお招きする映画監督のお話を聞いて、映画を観た後に東日本大震災で津波被害にあった海沿いへと旅立つ人、新潟生まれの水俣市のおばあさんに生まれ故郷の写真を送るため上越まで足をのばす人など。身近な旅もたくさん生まれていて、阿賀野市のお地蔵さんに会いに行ったり、「水」への関心を深めて潟めぐりをする人もいます。こうした旅人が経験を持ち寄り、授業での話し合いに深みのある彩りを添えています。歩きながら学ぶという点では授業外の学びがたくさん、これぞ自主的な学習と言えるのではないでしょうか。
Ka Po Ng
交流から生まれる知への探究心
大学時代の恩師との出会い
国際関係学と中国政治学を学び、教え、研究してきた長い年月を振り返る度に、オーストラリアでの学部生時代を思い出さずにはいられません。オーストラリアのほかにもアメリカ、イギリス、チェコスロバキア(現在のチェコ)から台湾、ベトナム、インドまで、世界中の学者から学ぶことができました。彼らは洞察力と斬新な視点で、私を終わりのない学問の熱い世界に連れて行ってくれました。より専門的な研究をするようになった後も、新しいアイデアに目を向ける必要があることを常に心に留めています。
人との交わりが新たな視点を与えてくれる
私は仲間の学者や学生と交流するのが大好きです。彼らとの会話は常にインスピレーションを与えてくれます。オーストラリアの大学では一般的なチュートリアルが日本の大学にはありませんが、私は学生との話し合いのために時間を確保しています。学生は講義を聴くだけでなく、プレゼンテーションを行ったり、クラスメートとアイデアを共有したりして、積極的に知識を学ぶ姿勢が大切です。さらに、学習は教室内に留まるものではありません。自立して研究することにより、関心のある分野をさらに探究しなければなりません。
常に新たな課題と研究方法を求めて
中国の格言に、「滝が綺麗に見えるのはなぜか。それは、真水が絶えず流れてくるからだ。」というものがあります。
長年の研究と教育を経てもなお、常に新しい研究課題と研究方法を探求し続けることが、研究活動を刺激的で、楽しく、興味深いものにしてくれます。
金 世朗
韓国語と日本語の共通点と違い
◆日韓対照言語学を始めたきっかけ
「ぼくも、お母さんのホーキがいいと思う…」。『魔女の宅急便』に登場する黒猫ジジのセリフです。「ぼく」でジジが男の子?であることがわかる日本語っておもしろいと思いました。韓国語と日本語は語順が同じで助詞が使われ、敬語もあってとてもよく似ていますが、その使い方はかなり異なっています。それで私は両言語の似ている所や異なっている所が知りたくなりました。これが日韓対照言語学をはじめるようになったきっかけであり、今行っている韓国語教育にもつながっています。
◆ゼミで学んだ自分の意見を持つということ
日本の大学に留学して、初めてゼミに参加した時のショックはすごいものでした。学部生から大学院生まで参加する現代語のゼミでしたが、一見無口で大人しそうな学生たちが誰かの発表に対しものすごい勢いで質疑応答をしていました。この時、自分の意見を言うことへの大切さや、物事にはいろんな見方や考え方があることを学びました。また、休みになると方言調査のために合宿旅行に出かけましたが、人々との出会いをはじめ、旅行をしながら研究ができた経験はとても楽しい思い出になっています。
◆研究の楽しさ、やりがい
主に、日本人の韓国語学習者がよく間違える誤用を分析して、どうすればわかりやすく効率的に教えられるかを研究しています。気になる誤用があれば、文献や論文を調べて勉強をします。それでもわからなかったり研究があまりされていなかったりしたら、自分で調べます。調べてわかったことを学生たちに伝えます。気になったことを自分の手で調べて明らかにしていく。わかったことを教育に生かす。これが私の研究のやりがいになっています。
権 寧俊
葛藤、悩み、挫折を乗り越えて
現代日本の「共生社会」への道を模索
私は日本へ来てから、研究の道を歩む者なら誰もが直面する様々な葛藤、悩み、挫折を人一倍味わってきました。そのときに助けられたのは日本の友人や周りの人々でありました。また、日本の生活で構えずにつきあえたのは、在日朝鮮人や中国の留学生たちでした。その人々との出会いは「多民族との共生社会」とは何かを教えてくれました。それが現在の私の専門である言語社会学と東アジア国際関係史に取り組むきっかけにもなりました。その専門のなかでも、特に「在外の朝鮮人社会」について研究しています。いわゆる在日朝鮮人、中国朝鮮族、ロシアおよび中央アジアの高麗人等の「朝鮮人社会」です。これらの社会はそれぞれの固有の歴史を背負っており、そこに生きる朝鮮民族にも特色があります。私の研究では、それらの社会の歴史的変遷を考察するとともに、ことば、民族、文化、社会との関係を分析することです。これらの分析を通して現代日本の「共生社会」への道を模索してみたい、と考えています。
最も興味のあるテーマ
私が今最も興味があるのは、日本の「共生社会」への実現というテーマです。現在、日本にはたくさんの外国人が住んでおり、その人々とこれからどう付き合っていくのか、が一つの課題になっています。これは日本の「内なる国際化」を考える際にも重要な課題であり、これからの日本の少子高齢化社会を考えるときにも極めて重要な課題だといえます。これらの問題と課題について学生皆さんと真剣に考えてみたいと思います。
Cook, Melodie
大学での学びを将来につなげてほしい
授業、ゼミを通じて
一番面白いのは、入学前の経験や考え方がその後の人生にもつながるという点です。例えば、2年前のゼミに、英語の先生になりたいという帰国子女の学生がいました。彼女は小学生のころ外国の学校で勉強しました。日本に帰国後は、学校でいろいろな問題があったといいます。同じ日本人でも日本で育った場合とは違いが出てきます。そうしたバックグランドもあって、卒業論文では帰国子女というテーマに取り組みました。今では、念願どおりに先生になって、大学で学んだことを活かして、さまざまな経験を持つ生徒をサポートするうえで役立っているそうです。入学前の経験や大学での学びを将来につなげていってくれるのは、実に素晴らしいことです。
知見を深める研究
研究の醍醐味は、それを通じて自分の考え方がより深く変わることです。例えば、2011年に外国人教師の立場から、日本の大学入試について研究しました。研究をする前は、大学入試は実用的な言語運用能力を測るものでないのではないか、と考えていました。しかし、入試問題の作成や採点のプロセスを研究してみると、当初の思いは誤りであったことがわかりました。これこそが、研究のスゴサです。その後も研究を進めて、他の外国人英語教員とも知見を深めていっています。
学生時代の思い出
たくさんあります。私は自分で授業料を払っていたので、3つのアルバイトをしていました。自分自身のためでしたので、いい成績をとろうと頑張りました。大学新聞を制作するというアルバイトはすごく楽しいものでした。多くの友人と出会ったり、映画や演劇についての記事を書いたりしました。一番の思い出は、あるドイツ語の先生から強い影響を受けたということです。毎週先生の研究室を訪ね、二人で話しました。ある日、先生から「私はこの仕事が大好き」と聞いたとき、私もこの先生のように、自分が愛する仕事をするのだ、と心に決めました。
佐藤 英志
英語学の世界を広げる
英語学との出会い、そして研究
大学生のころは、文系の学部に入学したはいいが、さて何を学べばよいのか。とりあえず英語でもやろうか程度に思っていたものの、実は英語よりも数学や理科のほうに興味があったんです。当時、大学1年生は専門に進む前に一般教養を学んだのですが、やっぱり数学や生物学の講義が面白くて。これはもしかして、入る学部を間違えたかなーと真剣に悩みました。そんな気持ちで一年間を過ごして、2年生の夏休みが明けた頃。ある授業に軽い気持ちで出席して、強烈な衝撃を受けました。英語の文法を解説しているのに、数学の方程式や化学の構造みたいなものが使われていました。これはいったい何だ?頭の中で文科と理科の対極がショートした瞬間でした。それが私と「英語学」との出会いでした。今の研究は、このときの出会いの延長線上にあります。
現在は生成文法理論を研究しています。これは、人間は生まれながらにして母語を獲得する機能が備わっているという学説です。この生得的な機能とはいったい何か。これはまだまだ未知の世界です。言語の美しさに魅了されては、その難解さに打ちのめされる。答えを見つけたと思ったら、もろくも崩れ去ってしまう。こんなことを毎日くり返して、悪戦苦闘しています。
英語学の世界、そして面白さ
英語学に関連する科目をいくつか担当しています。例えば「英語学概論」では、英文法から英語学への橋渡しを目指しています。英文法は暗記科目に近いけど、英語学では「なぜそうなるのか?」という理由を深く考えます。例えば、‘John sent a letter to Mary.’は‘John sent Mary a letter.’と言いかえられます。だけど‘The pitcher threw a ball to the fence.’を‘The pitcher threw the fence a ball.’とは言えないんですね。これはなぜでしょうか。このような英文法の疑問を、文献を読みながら考えています。この授業を踏み台として、「言語の科学」や「英語統語論研究」などでさらに英語学の世界を広げていきます。
高久 由美
文字文化を通して考える中国と日本
中国語との出会い
幼い頃からコトバに興味を持っていて、今も、知らない言葉を耳にすると耳をそばだててしまうくせがあります。大学入学のため専攻を決めるとき、外国語のなかでも特に中国語を選んだのは、それまで勉強してきた英語とも、また日本語とも決定的に違った言語を学んでみたいと考えたからだったように思います。あえてもうひとつ言えば、中国語が日本語に与えた他にはない重要性から、中国語を研究しなければ日本語はわからない、と思ったこともあります。
漢字・中国・日本
学んでいくうちに、私は世界の諸言語のうちで中国語(漢語)だけに見られる特異な現象に気づきました。ふつう、言葉というものは音と意味とで構成されますが、言葉の中にそれを表す表意表音文字が入り込んでくるという、世界に例のない言語現象です。漢字を言語現象の中でどのように把えるべきか―私は、漢字学を自分の生涯の研究テーマにしてみよう、それが中国語の特異な構造を解く鍵になるのではないか、またそれを受容した日本文化そのものの本質的な解明に繋がることもあるのではないか、そんなことを考えております。
世界の歴史や文化を探求
大学2年の時に初めて、かねてからの念願だった海外への旅に出ました。行先は英国とフランスで、計画立案から渡航手続き、移動の切符や語学学校の手配、何から何まで自分でおこなった一人旅でした。道中いろいろありましたが、感動も失敗もその後の人生の糧となっていると、当時を振り返ってつくづく思います。大英博物館には何日も通いましたが、中でも数多の東洋の考古遺物や美術品に大いに感銘を受け、帰国後は古代中国の歴史や文化を探求しよう、と決意を新たにした旅となりました。
高橋 梓
韓国文学をとおして東アジアの歴史への理解を深める
◆今の研究に取り組むきっかけ
高校生の頃に、南北首脳会談(2000年6月)のニュースを偶然見ました。その時に、「なぜ日本と近い国が分断してしまったんだろう」という単純な疑問を抱いたのが、私が韓国・朝鮮について関心を持つようになったきっかけです。韓国・朝鮮の歴史について知るには、その地域の言語を学ぶのが一番だと考え、大学で韓国語を専攻しました。韓国語を学ぶ中で、植民地期に朝鮮の人びとがどのような経験をし、何を考えていたかについて興味を持つようになりました。そんな中、図書館で韓国・朝鮮関係の本を読んでいる中で出会ったのが、植民地期のさまざまな朝鮮人の生き様が描かれている朝鮮近代文学作品でした。その後、大学院に進学し、植民地期の朝鮮近代文学の研究を本格的に始めました。
◆研究の楽しさ
近代化の過程で生まれたという点で、朝鮮近代文学は日本近代文学と似ています。ですが、朝鮮の近代化は「植民化」の時代でもあったので、朝鮮近代文学を読むことは朝鮮の植民地期の歴史を知ることにつながります。作品をとおして植民地期を生きたさまざまな朝鮮人(知識人、農民、労働者、女性…)の経験に接し、東アジアの歴史への理解を深めることができるというのが、韓国・朝鮮近代文学を読むことの面白さだと思います。また、朝鮮文学というジャンルは、韓国語・朝鮮語で書かれたものにとどまりません。朝鮮半島にルーツを持つ「コリアン・ディアスポラ」作家の文学からは、日本やアメリカ、中国、ロシアなどで生きる彼/彼女らの歴史や思想に触れることができます。
◆学生時代の思い出
2年次まで週6コマの韓国語の授業があり、なかなか大変でしたが、韓国語は日本語と文法が似ているので、1年次の終わりにはある程度韓国語での読み書きや会話ができるようになり、喜びを感じました。2年次の夏休みに日韓の大学生の国際討論・交流プログラムに参加したことで韓国人の友人もでき、彼らと互いの文化や社会について話すたびに新たな発見がありました。また、大学時代に韓国語をしっかり学んだことは、現在私が韓国語の文献を読み解いたり、韓国の研究者と交流して自分の考えを深める際にも役立っています。外国語を学ぶことは簡単なことではありませんが、きっと将来の皆さんの世界を広げてくれると思います。
茅野 潤一郎
近年は日本人英語学習者のリスニング能力やリスニング教材について研究しています。学校用教材は様々な配慮や工夫がなされて作成されていますが、それを使っても実社会で生きた英語を聴き取ることができなかったという体験談を時々耳にします。そのつまずきの原因はどこにあるのかを突き止めることが目標です。また、リスニングの学習といえば通常、盗み聞きをしているかのように会話を聴き、いわゆる四択問題に答え、答え合わせをするといったパターンが大半を占めますが、「聴く」という行為をコミュニケーションの視点から新たにとらえたリスニング教材を開発し、さらに効果的な指導法や学習法を追求したいと考えています。
陳 柏宇
学者同士の切磋琢磨を研究に活かす
■ 日々変化していく民主主義のあり方
民主主義とは何かという疑問に対し、選挙活動、世論調査、投票行為や公共政策などの研究を通して、学生と一緒に考えてきました。特に今日の民主主義のあり方は情報通信技術の発達につれ、ソーシャルメディアなどのデジタルツールに大きな影響を受けます。フェイクニュースの拡散はその一つの顕著な例だと思われます。選挙、世論調査と民主主義や比較公共政策などの科目では、理論だけではなく、日常生活の事例を使い、応用にも繋げます。
■ 投票支援システム作成を通して
投票する際にどの政党と候補者に票を入れるか、まさに有権者にとって難しい問題です。民主主義を深めるために、支持政党に影響されず、独自の判断を下すことは大切ではないかと思っています。台湾の中山大学に勤めていたとき、投票支援システムを開発するチームに参加し、有権者と政党や候補者とのマッチングをインターネットで行い、投票の際に参考になる情報を有権者に提供することに取り組んできました。そういったシステムを作成するために、立候補者や政党代表などと触れ合うことができ、とても楽しかったです。
■ 学会はまるで同窓会
研究者として学会の場での切磋琢磨は大事なことです。特に海外の学会に参加した際には、各国の類似の分野で努力している学者と知識を分かち合うことができますし、学会の開催地によっては、異なる国や都市であってもいつも会っている研究者がいたりと、まるで同窓会のようです。それらの学者から受けたひらめきや貴重なアイデアなども多々あります。成長の糧だと言っても過言ではありません。
野本 洋平
出会いを大切にしてほしい
今の研究に取り組むきっかけ
今、私の研究テーマは「転倒予防のための新しい身体機能の評価方法の提案」や「ヒトのリラックス状態のメカニズムの解明」などです。転倒予防については、全国で統一された身体機能の評価指標がないため、定量的で誰でも手軽に利用できる評価指標を提案するために動作解析などを用いて検討しています。また、ヒトのリラックス状態を明らかにするためにMEGや心電図を用いて検討しています。研究テーマは別として研究に取り組むきっかけは、学部生の頃に研究室の先輩が携わっていた転倒予防事業のお手伝いをしているときに研究の楽しさを知ったことだと思います。
研究の楽しさ、やりがい、難しさ
どんなに小さな研究結果だとしても知らないことを知ったときは、素直にうれしいことです。その反面、実験計画や実験結果などに対して一人で悩む時間が多く、その時間は
とても孤独でつらい仕事です。
研究室で過ごした学生時代
学部生の頃までは、何に対しても無気力な生活を送っていました。研究室に入ってからは、恩師や研究室の先輩が仕事などをしている姿をみて人生に目標が持てるようになりました。研究室のメンバーとは夜遅くまで研究室の雑用や実験結果の解析などを行っていましたが、途中で仕事が嫌になると研究室に転がっているお酒を呑んでしまい、途中でやめることができず居酒屋などに行って、次の朝に後悔した思い出がたくさんあります。
広瀬 健太郎
数理・実証的な方法論で国際政治を分析
◆担当授業の特徴
パワーの分布や経済的相互依存は軍事紛争とどのような関係にあるのか。なぜ民主主義国同士は戦争しないのか。平和維持活動は本当に平和を維持するのか。このような問いに関する理論は誰でも論理の力を借りて自由に作り出せますが、どの理論がデータで支持されるのか、それを語ることなくして理論を評価することはできません。授業では、理論を評価する際に論理だけでなくデータに基づいたエビデンスも重要であることを強調します。
◆研究の楽しさ
研究の楽しさは何か新しい発見をするに一歩進められる点にあります。裏を返すと、どのような研究も新しい発見をしなければ学問的貢献は認められません。それは卒論でも同じことです。Wikipediaの記事などを切り貼りするだけの論文に学問的価値はありません。どんなに小さなことでもいいので、学生生活の集大成である卒業研究で何か新しい発見をできるよう頑張ってください。
◆学生時代の思い出
学部時代は思想や歴史や法学などの典型的な文系学問に興味がありました。転機となったのが大学院時代にとったアメリカ帰りの若手の先生の授業です。そこで科学的な方法論というものがあること、アメリカの政治学では数理・実証的な分析が主流になりつつあることなど、それまで考えもしなかったことを学びました。結局、その授業がきっかけとなり、今ではゲーム理論や統計分析といった数理・実証的な方法論を使い国際政治を分析しています。
福本 圭介
先人たちの思考の跡をたどって
暴力からの解放
私の専門は、英語圏文学、思想です。近年は、植民地インドの人々を真の意味で解放しようとしたガンディーの非暴力主義の思想や運動を研究しています。20世紀になって植民地はなくなりましたが、《植民地主義的な構造》はいたるところに根深く残っています。私たちのまわりでも、差別があり、貧困があり、戦争もどんどんリアルになっている。私たちは、このような「暴力」からどのようにして自由になれるのか。先人たちの残した思考の跡をたどりながら考えています。
学生が学ぶ力
沖縄の基地問題について講義したときのこと。数日後、「沖縄に行きたいので、訪れるべき場所を教えてください」と2人の1年生が研究室に飛び込んで来ました。沖縄の地図と本とちょっとしたアドバイスを手渡すと、彼らはその夏、1週間ほど沖縄をじっくり旅してきました。そして、翌年には、なんと沖縄スタディツアーを計画し、数人の後輩たちを連れて再び沖縄へ行ってきたのです。何か手ごたえがあったのでしょう。皆、とってもいい顔をして帰ってきました。
学生時代の旅の思い出
大学時代に自分で発見したのは、旅をすることのすばらしさです。アメリカでは、サンディエゴからニューオリンズまで、メキシコ国境に見えるサボテンの森やアリゾナの黄金の砂漠をこえながら2週間めくるめくドライブをしました。インドでは、巨大なデカン高原の果て、夕日が沈むアラビア海で泳ぎました。至福。そして、ブッダガヤーの町では、仏陀が悟りを開いたと言われる場所で静かに座りました。なぜか野良犬に吠えられて怖かった!
Brown, Howard
英語を使える人になってほしい
英語上達の秘訣
私は、主に英語の授業を担当しているのですが、学生から「どうやって英語を勉強すればよいですか」とか「一番よい勉強方法を教えて」とよく訊かれます。しかし実はそういう質問の代わりに、「どうしたら英語を使える人になれますか」と訊いてほしいと思っています。
日本では、大学に入るまでに中学・高校で少なくとも6年間英語を勉強しています。ですから、これまでに学習した英語をどのくらい使えるようになるか、にチャレンジしてほしいです。大学の内容言語統合型学習(CLIL)の授業や自習で多読などをして、できるだけ英語を使うことを心がけてほしいと思っています。
新潟県立大学のACEプログラムのモットーは、「『英語を学ぶ』から『英語で学ぶ』へ」です。ぜひ、それを実践しましょう。
教育の国際化
私の専門分野は、応用言語学です。広くて、少し定義が難しい分野ですが、主に言語教育に関する研究が多いです。研究のテーマは、「日本の高等教育の国際化」。留学生の受け入れだけでなく、教員の交流事業や他の国々の大学との協定締結、国際的な教育などを通して、世界中の大学で国際化が進んでいます。
なかでも大きな注目を集めているのが、英語による教育です。新潟県立大学におけるEMS モジュールのような英語の授業ではなく、専門科目授業をすべて英語で行う教育です。日本の大学の3分の1以上は、英語による教育を提供しています。全国の大学の英語による教育プログラムのカリキュラム構成や授業の方法を調査し、成功事例を探る研究をしています。
Bennett, Phillip
語彙研究の役割と楽しさを伝えたい
語彙は言語を学ぶ鍵
私は修士号を取得して以来、語彙に興味を持っています。私にとって語彙は言語を学ぶための鍵です。博士課程では、学生が自分の語彙力がどのように伸びているかフィードバックを受けるための語彙テストを開発、学生が作文で比喩的な語彙をどのように使用するかについて研究しました。私の現在の研究プロジェクトは、単語が互いにどのように関連しているかを理解し、将来、より効果的に語彙を教えることができるようにすることです。
言語学を研究する楽しみ
私にとって、研究を行うことは新しい知識を生み出し、社会に利益をもたらすことになるため、やりがいがあります。研究は難しくパズルのようですが、論文を発表したり、自分の発見を他の研究者と話し合ったりするときには、非常に満足できます。語彙は言語学習の重要な部分であるため、語彙研究から学んだことを授業に応用して、学生がより効果的に語彙を構築できるようにすることも楽しいです。
アクティブラーニングの多い学生時代
楽しい学生生活を過ごしました。先生方はアクティブラーニングを進めていたので、実験、研究プロジェクトなど、グループ活動をたくさん行いました。当時は試験が少なかったので、今の学生よりも勉強のプレッシャーは少なかったと思います。もちろんテストも重要ですが、教育には創造性、他者との協働の学習、自己表現も含まれるべきだと思うので、受けた教育に感謝しています。
水上 則子
Q1 ご自身の学生のころの一番の思い出を教えてください。
海外には行けませんでしたが、先生方の計らいで大使館を訪れ、館員向けの催しに参加させてもらえたのは、ちょっとした異文化体験でした。ロシア(ソ連)大使館は警備も厳しく、威圧感があって緊張しましたが、チェコ大使館は瀟洒で家庭的で、とても楽しかったのを覚えています。
Q2 研究の面白さを教えてください。
150年ほど前にロシアの西端で記録された民謡が研究対象です。分析に熱中していると、その歌が流れる場に立ち会っているような、時空を越えた遠い旅をしているような気分になります。
Q3 県大を目指す受験生へ一言メッセージをお願いします。
自分の目でものを見ること、自分の頭で考えること、自分の言葉で話すこと̶ 当たり前のようでありながら、実はなかなか難しいことです。大学では、大いに本を読み、仲間や先生たちと語り、自分の目と頭を鍛えてください。自分の言葉を磨くには、外国語の学習がとても役立ちます。私はそのお手伝いができたらと思っています。
宮﨑 七湖
「日本語を教える」ということ
■ 学習者の視点からみる日本語
日本語の助詞の「は」と「が」の違いが何であるかわかりますか。「日本語教育学概論」では、普段無意識に使っている日本語を学習者の視点で捉え直します。また、日本語を教えるために必要な知識は、日本語の文法の知識だけではありません。この科目では、日本語の音声や文字、語彙といった日本語の知識のほか、社会と言語の関係、第二言語習得、教授法に関する知識も学びます。
■ 台湾での転機
日本語を教える仕事をしようと思ったのは、大学卒業後に働いていた会社の仕事があまりにもつまらなかったから、という後ろ向きな理由からです。働きながら講座に通って日本語教育の知識を学び、晴れて会社を退職し、台湾の日本語学校で教壇に立ったのが始まりです。それ以来、この仕事が楽しくて、一度も辞めようと思ったことがありません。留学生たちは日本に来て、さまざまなことを経験し、日本語だけではなく多くのことを学びます。この成長の過程に立ち会えることは、とても幸せなことだと日々感じています。
■ 大学時代の思い出
大学の時は、サークル活動(英語会)ばかりしていました。いま思えば、活動をして、英語力を磨いていたというよりも、英語会のラウンジが居場所だったから、毎日通っていたようなものでした。また、旅行の楽しさに目覚めたのも大学時代です。アルバイトでお金を貯めて、中国やトルコなど、1か月ぐらい行き当たりばったりの貧乏旅行をしました。また、博多までひたすら普通列車を乗り継いで行ったり、北海道まで夜行列車で行ったりしたのも、学生時代の良い思い出です。
ミラー 枝里香
学生の背中を押してあげられる教員を目指して
◆学生時代の思い出
私は国際関係論とは別の専門科目を大学3年間勉強していましたが、3年時にアメリカの宗教史に関する授業を取ったことがきっかけで、世界のあり方に興味を持つようになりました。3年生の終わり頃から「もっとこの勉強がしたい」と考えるようになり、そこから国際関係論を勉強しました。その分野の先生たちに何度か質問に行くうちに、何人かの先生が私の勉強を応援して下さるようになりました。これらの先生たちが私を応援して下さったからこそ、大学院に行こうと思うようになり、最終的には研究者として食べていけるようになったのだと思っています。大学に就職して以来、先生たちに激励いただいた日々をよく思い出します。私も学生の背中を押してあげられるような、立派な教員になりたいと日々思っています。
◆研究のやりがい
社会科学の研究の問いに対する答えは一つではありません。「あーでもない、こーでもない」と議論するためには、高い言語能力が必要です。国際関係史に関していえば、ほとんどの研究が英語で行われているため、幅広い先行研究を読み、巧みな文で論文を書くという研究に必要不可欠な作業では、ネイティブが圧倒的に有利です。私はイギリスで修士・博士課程を勉強したのですが、ネイティブとの議論で悔しい思いをしたことは何度もありますし、「別に私が中東の英米関係を研究しなくても誰も困らないよな」と思うこともあります。しかし、文化的背景の違いから、ネイティブや英語圏で育った人が考えられないような視点から課題を捉えることができる時があります。そうした時、私が研究することにも意義があるのだと思えます。