教員の研究経歴


ゼミ担当教員の神山伸です。
経歴の詳細については、大学の「教員データベース」をご参照ください。


出身は東北大学農学部(及び大学院農学研究科)の栄養学講座であり、学生時代は生体内の脂質過酸化とリポタンパク質(血液でコレステロールや脂肪などの脂質を運ぶもの)代謝との関係、及び抗酸化ビタミンの働きについて研究していました。
博士論文のタイトルは「レシチン・コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性に及ぼす酸化リポタンパク質の影響に関する研究」です。


レシチン・コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、「善玉コレステロール」である高密度リポタンパク質(HDL)が血管壁などの余計なコレステロールを回収するときに働く酵素の名前です。
悪玉コレステロールとして知られる低密度リポタンパク質(LDL)は、酸化されると「酸化LDL」という「超悪玉」の状態となり動脈硬化症の原因となることが知られていたのですが、それとともに動脈硬化症を防ぐ役割を持つHDLの働きも、脂質の過酸化によってLCAT酵素の活性が低下するために抑えられてしまうことを新たに示した研究です。


論文の内容は今となっては恥ずかしい限りですが、ともかくも研究者としての「免許証」である博士号(農学)を取得しました。
その後は博士研究員(ポストドクトラルフェロー、いわゆる「ポスドク」です)として「分子生物学」の分野で、リポタンパク質の受容体や、生体のタンパク質の働きを修飾する「糖鎖」の合成に関わる輸送体(糖ヌクレオチド輸送体)、糖鎖の硫酸化に関わる輸送体(PAPS輸送体)などを新たに見つけ出す研究に携わってきました。
特に、PAPS輸送体(PAPST1, 別名SLC35B2)の発見は世界で初めての報告であり、その後、この輸送体の異常を原因とする病気が明らかにされました。


平成21年(2009年)4月に新潟県立大学人間生活学部の教員として採用され、管理栄養士養成施設としての教育業務の傍ら、現在も何とか研究を続けています。


(糖ヌクレオチド輸送体及びPAPS輸送体の機能と病気との関わりについては、以下の総説(英語)にまとめてあります。)
"Solute Carrier Family 35 (SLC35)—An Overview and Recent Progress"