教室では、学生どうしが対話する時間を大切にしています
福本 圭介 研究室
国際地域学部 国際地域学科 教授
専門分野:英語圏文学、ポストコロニアル思想
担当科目:ポストコロニアル研究入門、ポストコロニアルの思想と文化、ポストコロニアル思想・文化演習、言語文化論、比較文化と越境的想像力、Critical Thinking、Postcolonial Literatures、CLIL II A、CLIL II B、海外英語研修B(中期)[ミネソタ]、フィールドワークB(水俣)、卒業研究
研究内容・授業内容について教えてください。
私が専門とする「ポストコロニアル思想」とは、植民地主義・帝国主義の時代から今も形をかえて世界で続いている「終わらない植民地主義」の問題を批判的に考察し、そこからの脱却を模索する思想的探究です。新潟県立大学の私の授業では、アメリカに根深く残る人種差別とたたかったキング牧師の非暴力思想について考えたり、沖縄の基地問題の根底にある現代日本の「無意識の植民地主義」について議論したりしています。教室では、学生の発表や、発表者の問題提起を受けて学生どうしが対話する時間を大切にしています。
また、水俣病を学ぶフィールドワークの授業では、教室の外へも飛び出します。熊本県水俣市でのフィールドワークでは、海辺、街、山里などを歩きながら、さまざまな角度から問題を考察します。新潟の阿賀野川沿いのフィールドワークでも、公害の現場を訪れ、歴史ある川のくらしと近代文明の光と影に心をはせながら、学生どうしで対話を深めます。
学生たちの研究テーマにはどのようなものがありますか?
学生たちは、それぞれの観点から、本当に多様な研究テーマを見いだしています。ある学生は、福島の原発事故を主題にした劇作品を取り上げ、そこに現代の植民地主義に抗う人間の想像力の可能性を読み取ろうとしたり、また別の学生は、100年前の関東大震災における朝鮮人虐殺をテーマに、現代日本人の歴史を否定しようとする態度の原因についてするどく分析したりしています。また、現代アメリカのホラー映画に描かれる人種問題を分析する学生もいますし、日本社会においてDV被害が減らない原因について法やジェンダー規範、社会構造の観点から考察する研究もあり、それぞれがとても興味深く、ユニークです。