北東アジア研究所の三村光弘教授がNHK・BS『国際報道2024』(2024年3月18日放送)に出演しました
番組の概要は以下の通りです。
「北朝鮮 初の報告書 人々の暮らしの実態は」
放送日: 2024年3月18日
2月、韓国・統一省は、北朝鮮の経済・社会の状況に関する初めての調査報告をまとめた。調査からは、これまでの北朝鮮の社会主義体制のイメージが覆される内容が多く含まれる。普段知ることのない北朝鮮の市井の人たちの暮らし。いまどのような状況になっているのか、独自取材も含めて、立体的に伝える。(番組ウェブサイトより)
三村光弘教授は、韓国・統一省が北朝鮮から韓国に入国した人々の調査を通じて公開した「北韓経済・社会実態認識報告書」のなかで「北朝鮮の人々の意識の変化」や「国よりも個人を大事にする姿勢」について問われ、配給制度が事実上機能しなくなったこの30年間で、北朝鮮の人々は自分の力で稼ぐようになり、古き良き社会主義の時代を知る世代と自分のために働く世代にギャップがあることを指摘しました。
三村教授はまた、「暴動」とも言われる労働争議があったかもしれないとのニュースに接し、「労働争議にもかかわらず『弾圧』のような処分がなかった点に注目した」とし、「働いた分だけお金がもらえるという社会の合意が広がっていることが読み取れる」とコメントしました。
個人の権利を主張する人々の意識の変化は、核・ミサイル開発を強化し、軍事を優先する北朝鮮の方針に影響を与えないのかという問いに対して、三村教授は「個人の意識が高まったからといって、米国との新たな関係が確立しない中軍事優先の姿勢は変わらない。対米抑止力を維持するために、ミサイル開発をすることには国民の間でも一定の理解がある。とはいっても、国民生活を向上させないと国民の政権への支持が得られなくなるという認識があるので、引き続き国民生活の向上と抑止力の強化を並行させていくことになるだろう」と答えました。