新潟県立大学北東アジア研究所を開設いたします

本日は、新潟県立大学北東アジア研究所設立記念式典にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。北東アジア研究所は4月1日開設され、新たな事業活動が始まりましたことをまず皆様にご報告申し上げます。

本研究所は、新潟県をはじめ関係の方々の支援のもとで設置・運営されてきた環日本海経済研究所の閉幕に伴い、その業務を継承し、北東アジアの経済社会の研究を引き続き行うため、本学の附置研究所として開設されたものであります。

本研究所の設立に当たりましては、本日ご臨席の花角新潟県知事の下、小岩総務部長をはじめとする県の御担当の皆様、吉田新潟経済同友会筆頭代表幹事をはじめとする経済界、本日ご臨席くださいました学界、報道関係の方々等多くの方々から御指導と御支援を賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

環日本海経済圏構想の下に環日本海経済研究所が設置されましたのは、東西冷戦終結直後でありますが、爾来、30年を経過する間に国際情勢は激変し、新潟と北東アジアとの交流にも大きな変化が見られております。こうした北東アジア情勢の変化の中にあって、新たな研究所では、ERINAにおいて蓄積された調査研究の成果を継承しつつ、新潟と北東アジアの交流の維持と相互の発展を視野に入れ、北東アジアの経済社会について先端的な研究活動を展開することが期待されております。とりわけ北東アジアは新潟の発展に深く関わる地域でありますので、地域間の交流や発展の基礎となる研究を行う日本を代表する知の拠点としての役割が期待されております。

こうした期待にこたえるべく、北東アジア研究所の事業内容を定めるに際しましては、新潟県及び県経済界・言論界を代表する有識者の御意見を頂いた上で、次の3つを主要な事業とすることに致しました。

第1は、北東アジアの経済社会に関する基盤的調査研究です。中国、韓国、モンゴル、ロシア、北朝鮮の5カ国の経済、社会、政治等を的確に定点観察し、その変化や特徴を明らかにする基盤的な研究を行います。

第2は、プロジェクト研究です。新潟は将来にわたっても北東アジア及び同地域を含んだアジア・太平洋、ユーラシア等の地域と共存しながら発展し続けます。こうしたことから、プロジェクト研究では、北東アジア、アジア・太平洋、ユーラシアの経済社会と新潟との関連を重視しながら経済、産業、地域社会の諸課題をテーマとした研究に取り組みます。研究は、県内大学をはじめ、内外の大学・研究機関と共同で行います。共同研究を行うに際しましては、本研究所が県内大学に開放された共同利用研究機関としての役割を担えるよう心掛けて運営したいと思います。

第3は、地域社会への貢献です。研究所における研究を蓄積し、その成果や知見を行政・経済界等へ提供すると共に、企業や県民向けのセミナーやシンポジウムの開催などを通じて、社会の幅広い層の方々への知識獲得の場や学習機会を提供いたします。こうした社会貢献の窓口として研究所内に産学連携推進室を設けました。

研究所は大学の機関である以上、申すまでもありませんが、その成果は本学に学ぶ学生たちへの教育内容に十二分に反映するつもりです。また、学内に留まらず本日お見えいただいている県内の各大学での教育にもご利用頂けるように心掛けたいと思っております。

本研究所は、所長を含め7名の研究者によって構成致します。後ほど所長からご紹介がありますが、6名の研究者は皆さん旧ERINAの研究員であります。研究者一同、これまでの蓄積を生かした上で、大学における研究者として研究の一層の高みを目指した研究に取り組むこととしております。

そうは申しましても、研究所は出発したばかりであります。必ずしも大きな組織ではなく、課題の重さに比して十分なリソースとは言い難い面があります。また、研究は息長いものでもあります。皆様のご期待に添えるよう大学あげて研究所の活動に取り組む所存ですが、本日のご列席の皆様におかれましては、今後の研究活動を見届けて頂き、これまでにもまして御指導御鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。簡単でございますが設立の御挨拶とさせて頂きます。

本日は誠にありがとうございました。

令和5年6月21日  

公立大学法人新潟県立大学

理事長・学長 若杉 隆平