ブックタイトル平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

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平成26年度公開講座記録集

第2回公開講座 新潟における果樹農園の展望れたか、その条件的なものがなんだったかを簡単にご紹介いただければと思います。岡村 私は今、私と、兄と、両親の4 人でやっているのですけれども、偶然笠原さんのところもご兄弟が入られているのですよね。笠原さんのところは儲かっているから2 人入っているのです。うちは儲かってないから、なんとかせねば、ということで2人入っているのです。ふたりも。それ以外にも、うちは経営的にも楽ではないのですが、お客様に愛されているというのをすごく子どもとして感じていて、うちの葡萄が愛されている。また、僕で葡萄を作り始めて5 代目になるのですけれども、ずっと育んできた歴史がある。それを絶やしていいものだろうか、そういう思いがありました。山中 それでは、儲かっている笠原さん。かどうかは知らないですけれども。笠原さんのところには、さっきアダムソン先生がおっしゃったように、われわれ事前に取材にうかがったところ、ほんとうに家族総出という感じでやられていましたよね。ですから、笠原さんには後継する側としてどういった条件を整えればうまくいくか。そのへんの秘訣を教えていただければと思います。笠原 みなさんから儲かっているように見えるということで、非常にありがたく、うれしく思っています。私も以前は親父がやっていまして、後継者だったのですが、きっかけは果樹農家に生まれて、農家の長男は経営を継ぐというのが昔からの流れだったので、小さいころから大きくなったら葡萄を作るんだよ、ということで、山梨に研修に行って勉強して戻ってきた。ところが親父もなかなか頑張っていたので、いいものをつくってもまわりの人が当たり前だと。それで私、それだったらということでいろんな果物を作り始めたのですが。それを見ていて、うちは今でこそ形は会社になっていますが農家ですので、夕食が家族会議を開くような感じです。うちの親父も夢をたくさん持っていて、ああしたい、こうしたいと。私もやはり研修からうちに入って作業したら、私なりに夢を持って、ああしたい、こうしたいと。それを見ていた子どもたちは、なにか夢につきあうというか、長男も抵抗なく、俺も一緒にやると。私は地元の加茂農林から山梨の農業大学校にあがって、勉強したくなかったので、東京農大も考えたのですが、4 年間そういったら親父に怒られまして。勉強するのだったらいってもいいけど、遊びはだめだと。長男もそういうことで、学校は好きなところにいってもいいよ。おまえが農業をしなければ、誰かがしてもらうから、家族だから子どもだからするというのは別になかったのですが、本人はやっぱりそのままレールに乗っていたほうが楽だったのか、私の後をやってくれた。次男もいたのですけども、次男は私から見たらできがよかったので、これはなんとか公務員になって、私は親としてあまり負担をせずに社会に出て行くなと思っていたのですが、ある日、「親父俺も一緒にここでやりたい」と。いや、農業なんか金取れないからだめだよ、公務員なら安心だし、それは親孝行なんだと言っていたのですが、長男がよくて次男がだめというわけにはいきませんし、他産業並みの給料をやれないからといったのですが、本人が「いや俺が稼ぎ出せばいいんだろ」ということで、それはそれなりに本人が夢や目標をもってやってくれれば、会社の安定、家族のためになるかなと思って、阻止することはなかったのです。長女、長男、次男ということで私は子どもが3 人いるのですが、長女も、結婚して本来ですと柿崎に行く予定が、近くの大通に住んでいまして、父親が仕事している中で、子どもを育てるのでお金がないから、私をパートに使ってよと。長男夫婦も一緒に家族なので、うちで働いてくれている。次男も結婚して、うちを出たのですけれども、次男の奥さんは保母さんやっていたのですが、私もそっちのほうがおもしろそうだから、金じゃなくて私をと。家族経営は一番危ないよと言ったのですが、来るものは拒まずと。研修など、長男は三重県のもくもくファームさんに行き、次男は広島の平田観光さんに行き、やはり日本屈指の観光施設だったのでいろいろなノウハウを勉強してくれて。接客もそうですし、演出、看板等々も全部自分で作り上げていく。私がいらなくなったので、また私は農夫に戻って、一生懸命畑で働いているのですけど、その点は非常にありがたいなと。投資もある程度恐れることなくして、私が借りたのをおまえたちが返すのだよ、というパターンで展開してきているのですが。あと従業員とのコミュニケーションをいかにはかっていくか。従業員数も増えてきていますので、経営的には大変ですけれど、なんとか家族がいて、それをサポートするスタッフがいてくれる。その点ではおもしろく展開できて、非常によいかなと。子どもたちがどんどん責任を自覚してきているのと、29 University of NIIGATA PREFECTURE